努力自体には価値は無いだろ。

苦痛や疲労を伴う努力自体が評価されるのを
最近自分の周辺で見かけます。
まぁ自分は学生なんてものであるので、
周りには成果主義者なんてそう多くはないし、
そういう甘ったるい環境にいるから
そんなシーンをよく見かけるのかもしれないですが。


学生らしく、秋に文化祭があるんですが、
例年サークルで屋台を出してます。
自分はふだん自炊派なんで料理担当にさせられたり、
声がでかいんで呼び込み担当にさせられたりするんですが、
今回のエントリは、後者の「呼び込み」に関して
不当な評価を受けたように感じたので書く気になったのです。


自分はいわゆる盛り上げ役を引き受けることが多いタイプの人間で、
特にそのサークルは盛り上げ役が少ないこともあり、
やたらヒョウキンなキャラクターになって過ごしています。
その屋台の呼び込みのときも、
寅さんのマネをして変な口上をわめいたり、
反町隆の歌の歌詞を変えて大声で歌ったり、
「助けてください」とかいいながら
素通りしようとする通行人にすがりついて
買ってもらうようなことをしてました。
そりゃもう疲れました。


人数が多いサークルなので呼び込みは同時に何人もがしてるんですが、
そのうち後輩の一人は、
別に大声でもなんでもなく普通に通行人に「おひるに一杯いかがっすか」
とかいって売り込んでました。
そんな感じで文化祭期間中を過ごしてたわけです。


俺は特にすばらしく売り上げに貢献したというわけでもなく、
無難な儲けも出て、打ち上げで酒を飲んだりするわけですが、
そのときになんだか違和感を覚えることになりました。
やたら自分が高い評価を受けてる。
「ほんとありがとうね、お疲れ様」とか言われてる。
「ご苦労様、がんばったねー」みたいな。
一方後輩は特になんというわけでもなく、
何もない感じで普通にしゃべりながら酒を飲んでる。


こいつ、この後輩、顔が非常によくできてるタイプなんす。
イケメソ。
必然的?に、女のコやマダム層によく売りつけてて、
明らかにこいつが一番売り上げには貢献してたんです。
ただ特に大声出すわけでもなく淡々と売り込んで、成果を出してたわけ。


俺は好き好んでパフォーマンス的なことをやってました。
そのせいか周りの店に親しまれて、
周囲の出店の店員は毎日のように
うちのサークルのとこに買いに来てました。
つーか俺が貢献したのはこの部分だけで、
ほかの一般の通行人とかにはほとんど影響しなかったと自覚してました。
もっと効率の良い売り方はあるとは思いながらも、
内輪ウケに走ってたわけです。


俺は体力使って「がんばって」「苦労」したから評価されて、
後輩は楽に売り上げた結果、特別評価されることもなく。
なんなんだかなー。へんなかんじ。


俺は疲れるようなことしてるから、
翌日ペースダウンするかもしれないような感じでした。
後輩は疲れるようなことはしてないから、
当然毎日同じペースでやれてました。
余計なリスクをとってない時点で後輩のほうが生産性が高い。
成果がコンスタントに出る。


あーつうかじかんねぇやあとでかこ


###つづき


えーっとなんだっけな


そうそう。後輩が効率的に大きく売り上げを伸ばす裏で、
俺は効率の悪い労力をたくさん使って少しの貢献をして、
その結果俺が褒められたことへの気持ち悪さについて。


なにをもってして「良い」とするのか、それが問題なわけですよ。


「良い」っていうのは、
良い子みたいな、好感が持てるというような「良い」と、
良い成果を出した、というときのような「良い」と、
があるわけです。


これらは別の次元の話であって、
比べるのはナンセンスなんだけど、
まぁこの文脈なんでちょっと書きます。


人間は、社会の中で、生産と消費を通して生きますね。
でーもって、生産っていうのは何かっていうと、
自分だか他の人だかが消費するものを生産するわけですよ。
つまり誰かが働いてなにか作り出して、
それを誰かが使って社会がまわってる。
社会でなく、無人島での一人の生活でも同じ。


船が難破して無人島にたどりついたロビンソンは
自分で野菜をつくり、自分で食う。こんなモデルを考えてみる。


ロビンソンはまじめにコツコツ毎日10時間畑を耕して、
どうにか自分の食い分を作っていたんだけど、
いろいろ工夫するうちに、効率が上がってきて、
最終的には5時間ほどの軽作業をすれば、
食べきれないほどの収穫を得られるようになった。


ここに、実はロビンソンと同じときに漂着した
チャールズが無人島の裏側にいました。
彼ははじめからこれまでずっと10時間の重労働をしてたとします。
この2人を上空からしばらく眺めたときに、
「チャールズは偉いな!」ってなるんでしょうか。


どちらが良いとかないです。


まぁしかし、好感が持てるのはチャールズかもしれない。
能力が低い人間ががんばっている姿を、
人間はしばしば好意的に見る性質があるように思いますね。


なんなんだろ。